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論文

Hydrogenation of silicon-bearing hexagonal close-packed iron and its implications for density deficits in the inner core

森 悠一郎*; 鍵 裕之*; 青木 勝敏*; 高野 将大*; 柿澤 翔*; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*

Earth and Planetary Science Letters, 634, p.118673_1 - 118673_8, 2024/05

水素による鉄の体積膨張に対するケイ素の効果を調べるため、高圧高温下でのhcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$の中性子回折実験とX線回折実験を行った。中性子回折実験は重水素化hcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$に対して13.5GPa, 900K及び12.1GPa, 300Kで行い、得られたプロファイルからリートベルト解析を用いて水素占有率を決定した。hcp-Fe-SiのP-V-T状態方程式を組み合わせることにより、hcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$の水素による体積膨張が純粋なhcp鉄の体積膨張よりも10%大きいことを示した。得られた値を用いて、内核の密度欠損を再現できる水素量を見積もったところ、シリコンの影響がない場合に比べて50%減少した。hcp-Fe$$_{0.95}$$Si$$_{0.05}$$で内核の密度欠損を再現した場合、内核と外核で可能な水素量xはそれぞれ0.07と0.12-0.15と計算された。

論文

Deuterium content and site occupancy in iron sulfide at high pressure and temperature determined using in situ neutron diffraction measurements

Abeykoon, S.*; Howard, C.*; Dominijanni, S.*; Eberhard, L.*; Kurnosov, A.*; Frost, D. J.*; Boffa Ballaran, T.*; 寺崎 英紀*; 坂巻 竜也*; 鈴木 昭夫*; et al.

Journal of Geophysical Research; Solid Earth, 128(9), p.e2023JB026710_1 - e2023JB026710_17, 2023/09

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Geochemistry & Geophysics)

少量の硫化鉄鉱物は、地球のマントルから産出するほとんどの岩石や、天然のダイヤモンドに内包物として含まれている。水素は高温高圧下で硫化鉄鉱物に溶解している可能性があるが、地表の温度と圧力では失われている。本研究では、高温高圧下における硫化鉄中の重水素量を、11.4GPa, 1300Kまでの条件でJ-PARCのPLANETでの6軸型マルチアンビルプレスを用いたその場観察中性子回折実験により決定した。硫化鉄水素化物中の全重水素含有量は高温高圧下で増加することが明らかになった。この結果を用いて、大陸深部のリソスフェアマントル中の硫化鉄鉱物の水素含有量を見積もったところ、1700-2700ppmの範囲にあることがわかった。これはバルクマントル中の約2-3ppmの水素に相当する。

論文

Hydrogen occupation and hydrogen-induced volume expansion in Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$D$$_x$$ at high $$P-T$$ conditions

市東 力*; 鍵 裕之*; 柿澤 翔*; 青木 勝敏*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 阿部 淳*; 齋藤 寛之*; 佐野 亜沙美; 服部 高典

American Mineralogist, 108(4), p.659 - 666, 2023/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:64.83(Geochemistry & Geophysics)

Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$H$$_x$$(D$$_x$$)の12GPa, 1000Kまでの高温高圧下における相関係と結晶構造をその場X線及び中性子回折測定により明らかにした。今回実験した温度圧力下において、Fe$$_{0.9}$$Ni$$_{0.1}$$H$$_x$$(D$$_x$$)ではFeH$$_x$$(D$$_x$$)とは異なり、重水素原子は面心立方構造(fcc)中の四面体サイトを占有しないことが明らかになった。単位重水素あたりの水素誘起膨張体積$$v_mathrm{D}$$は、fcc相で2.45(4) $AA$^3$$、hcp相で3.31(6) $AA$^3$$であり、FeD$$_x$$におけるそれぞれの値より著しく大きいことが明らかになった。また、$$v_mathrm{D}$$は温度の上昇に伴いわずかに増加した。この結果は、鉄に10%ニッケルを添加するだけで、金属中の水素の挙動が劇的に変化することを示唆している。$$v_mathrm{D}$$が圧力に関係なく一定であると仮定すると、地球内核の最大水素含有量は海洋の水素量の1-2倍であると推定される。

論文

Magnetic and structure transition of Mn$$_{3-x}$$Fe$$_x$$O$$_4$$ solid solutions under high-pressure and high-temperature conditions

山中 高光*; 平尾 直久*; 中本 有紀*; 三河内 岳*; 服部 高典; 小松 一生*; Mao, H.-K.*

Physics and Chemistry of Minerals, 49(10), p.41_1 - 41_14, 2022/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Materials Science, Multidisciplinary)

Mn$$_{3-x}$$Fe$$_x$$O$$_4$$固溶体の磁性と結晶構造を高温高圧下で中性子回折と放射光メスバウアー分光によって調べた。Mn$$_2$$FeO$$_4$$スピネルのフェリ磁性-常磁性転移は100$$^circ$$C、正方晶-立方晶転移は180$$^circ$$Cで起こり、これら2つの転移は直接関連していないことが分かった。構造相転移の転移温度は圧力とともに減少する。メスバウアー分光と中性子回折から、四面体サイトでのFe$$^{2+}$$の占有率が圧力とともに増加することがわかり、Mn$$_2$$FeO$$_4$$相は逆スピネルに近づくことが示唆された。磁気構造解析により、MnFe$$_2$$O$$_4$$とMn$$_2$$FeO$$_4$$の常磁性とフェリ磁性の構造を明らかにした。これらのスピネルはそれぞれ18.4GPaと14.0GPaで斜方高圧相に変化し、Mn含有量の増加とともに転移圧力が低下することがわかった。

論文

Effects of potential on the electrical conductivity of a solution within a crevice of stainless steel in high-temperature water

相馬 康孝; 小松 篤史; 上野 文義

Corrosion, 78(6), p.503 - 515, 2022/06

 被引用回数:0 パーセンタイル:0(Materials Science, Multidisciplinary)

高温水中におけるステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)を理解するためにはすき間部における溶液の性質を、電位(ECP)の関数として理解することが重要である。本研究ではSUS316Lステンレス鋼すき間内の溶液導電率($$sigma$$$$_{crev}$$)の測定を288$$^{circ}$$C、8MPa、主要なアニオンとして約10ppbのCl$$^{-}$$を含有する水中で行った。$$sigma$$$$_{crev}$$のその場測定は、すき間幅15$$mu$$mおよび奥行き23mmの直方体すき間において、異なるすき間深さ位置に設置した電気化学センサーにより実施した。ECPを-0.49V (vs. standard hydrogen electrode at 288$$^{circ}$$C, 8MPa)から-0.12Vに増加させたところ、$$sigma$$$$_{crev}$$は開口部から21mmの距離において12$$mu$$Scm$$^{-1}$$から160$$mu$$Scm$$^{-1}$$まで上昇した。$$sigma$$$$_{crev}$$の上昇は約0.15Vで最大値(約300$$mu$$Scm$$^{-1}$$)を示したのちは電位上昇と共に減少する傾向を示した。本現象は電気化学反応を考慮した有限要素法解析により定量的に再現することができた。すなわち、比較的低電位ではCl$$^{-}$$が主要なすき間内への電気泳動種となり、ECP上昇により$$sigma$$$$_{crev}$$は単調に増加し、同時にpHも低下すると考えらる。一方、ECPが0V近傍を超えると過不働態溶解によって発生したHCrO$$_{4}$$$$^{-}$$もすき間内へ十分な量が泳動する。本化学種はCl$$^{-}$$とは異なり酸化性が強いことから、金属カチオンと反応してそれを酸化沈殿させ、導電率を下げるものと推測された。

論文

高温水クレビス模擬環境におけるFe-Cr-Ni合金の電気化学的性質

相馬 康孝; 加藤 千明

材料と環境2022講演集(CD-ROM), p.219 - 220, 2022/05

沸騰水型軽水炉においてはステンレス鋼すき間内部に外界の不純物イオンが濃縮し、酸性化することから、そのような環境(クレビス環境)におけるステンレス鋼の電気化学的性質を知ることは重要である。本研究は、クレビス模擬環境をバルクスケールで再現し、Fe-Cr-Ni合金の電気化学的性質に及ぼすCr濃度の影響を主体に調査した。クレビス環境を模擬した、温度288$$^{circ}$$C、Cl濃度2$$times$$10$$^{-4}$$ mol/dm$$^{-3}$$、pH約4.5、溶存水素濃度10ppbの水中で、Fe-20Ni-xCr (x=16.4, 23, 26)の分極曲線を計測した。その結果、-400mVにおける活性溶解のピーク電流、および-50mVにおける不働態保持電流密度はCr濃度x=16.4, 23、および26%の試験片でそれぞれおおよそ13.8, 15.9, 10.0 $$mu$$Acm$$^{-2}$$、および18.4, 8.5, 8.5 $$mu$$Acm$$^{-2}$$であった。いずれもx=26の電流値が若干低いが、本環境では分極曲線に及ぼす明確なCr濃度依存性は見られないと判断された。

論文

Behavior of light elements in iron-silicate-water-sulfur system during early Earth's evolution

飯塚 理子*; 後藤 弘匡*; 市東 力*; 福山 鴻*; 森 悠一郎*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 鍵 裕之*

Scientific Reports (Internet), 11(1), p.12632_1 - 12632_10, 2021/06

 被引用回数:3 パーセンタイル:32.31(Multidisciplinary Sciences)

FeNi合金からなる地球核は、H, C, O, Si, Sなどの軽元素を含んでいると考えられている。その中でHは、宇宙に最も存在する元素であり、最も有望な候補である。これまでの我々の中性子回折実験から、鉄-水系において、水素が他の元素より優先的に鉄に取り込まれることが分かっている。今回、初期地球の組成で水を含んだ鉄-ケイ酸塩系において、Sが及ぼす影響を調べた。その結果、一連の鉄の相転移、含水ケイ酸塩の脱水酸基およびカンラン石・輝石の形成を観察した。またFeの共存相としてFeSが現れた。Hがいる条件でもFeSの格子体積が一定であることから、FeSに水素は入らず、FeSはむしろFeの水素化を阻害することがわかった。高温高圧下から回収された試料を観察すると、FeにはHとSが入っており、HおよびSはFe(H$$_{x}$$)-FeS系の融点を下げる効果があることが分かった。一方回収試料には、C, O, Siなどの他の軽元素は含まれていないため、地球核形成時には、まずFeH$$_{x}$$およびFeSができ、その後さらに高温高圧下でFeHxやFeSが融解した後でないと、それらは核に取り込まれないことが分かった。

論文

同位体分配係数への圧力の影響

佐野 亜沙美; 伊藤 正一*; 鈴村 明政*; 上野 雄一郎*; 八木 晃*; 井上 徹*; 川添 貴章*

高圧力の科学と技術, 30(2), p.85 - 94, 2020/10

鉱物や岩石は、その起源や歴史によって様々な同位体組成を示す。温度などの環境パラメータに依存する平衡同位体分配係数はこれらの同位体組成を解釈する上で重要な鍵となる。これまでは温度に比べて無視できると考えられていた同位体分配係数への圧力の影響が、地球内部の条件では有意であることが最近の研究により明らかになってきた。本論文では、数GPa以上の高圧下での鉄と水素の同位体分配係数を決定するための最近の実験研究の進展をまとめ、その課題と今後の展望について議論する。

論文

Crystal and magnetic structures of double hexagonal close-packed iron deuteride

齋藤 寛之*; 町田 晃彦*; 飯塚 理子*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*

Scientific Reports (Internet), 10, p.9934_1 - 9934_8, 2020/06

 被引用回数:3 パーセンタイル:15.07(Multidisciplinary Sciences)

4-6GPaの圧力で1023-300Kに降温中の鉄重水素化物の中性子回折パターンを測定した。二重六方晶構造を持つ$$varepsilon$$'重水素化物は温度圧力に応じて他の安定または準安定相と共存し、673K, 6.1GPaではFeD$$_{0.68(1)}$$、603K, 4.8GPaではFeD$$_{0.74(1)}$$の組成を持つ固溶体を形成した。300Kに段階的に降温する際、D組成は1.0まで上昇し、一重水素化物FeD$$_{1.0}$$を生成した。4.2GPa, 300Kにおけるdhcp FeD$$_{1.0}$$において溶け込んだD原子は、中心位置から外れた状態で二重六方格子の八面体空隙のすべてを占めていた。また、二重六方晶構造は12%の積層欠陥を含んでいた。また磁気モーメントは2.11$$pm$$0.06B/Feであり、Feの積層面内で強磁性的に並んでいた。

論文

Hexagonal close-packed iron hydride behind the conventional phase diagram

町田 晃彦*; 齋藤 寛之*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 舟越 賢一*; 佐藤 豊人*; 折茂 慎一*; 青木 勝敏*

Scientific Reports (Internet), 9(1), p.12290_1 - 12290_9, 2019/08

 被引用回数:25 パーセンタイル:83.96(Multidisciplinary Sciences)

hcp金属Feは、地球の内核に相当する温度圧力条件を含む広い範囲の温度(T)および圧力(P)条件で安定に存在するが、hcp鉄水素化物FeHxは、従来のFe-H系の相図には存在しない。温度298-1073K、水素圧4-7GPaにおけるその場X線および中性子回折実験を行った結果、x$$<$$0.6の範囲でhcp鉄水素化物が生成されることを明らかにした。水素原子は、ホスト金属格子の八面体サイトを部分的にランダムにも占めていた。またHの侵入による体積膨張は、1水素当り2.48(5) $AA $^{3}$$であり、面心立方(fcc)鉄水素化物のものより大きかった。hcp水素化物は、fcc水素化物と異なり、その水素組成xは温度とともに増大した。本研究は、広範囲のx-T-P領域にわたるFe-H系のさらなる調査のための手引きを提供する。

論文

高温高純度水中におけるステンレス鋼のすき間内溶液導電率のIn-situ分析

相馬 康孝; 小松 篤史; 上野 文義

材料と環境, 67(9), p.381 - 385, 2018/09

高温高圧高純度水中におけるステンレス鋼のすき間内で発生する局部腐食現象のメカニズムを解明するため、すき間内溶液の電気伝導率をIn-situ測定する手法(センサー)を開発し、すき間内環境と局部腐食との関係を分析した。センサーは、高純度アルミナで絶縁した直径約250$$mu$$mのステンレス鋼製電極をすき間形成材に埋め込み、電気化学インピーダンス法により、電極直下における局部的な溶液の電気伝導率、$$kappa$$$$_{crev}$$を取得するものである。SUS316Lステンレス鋼のテーパー付きすき間内に複数のセンサーを設置し、温度288$$^{circ}$$C、圧力8MPa、純酸素飽和した高純度水中において、$$kappa$$$$_{crev}$$の時間変化を100h計測した。すき間幅約59.3$$mu$$mの位置では$$kappa$$$$_{crev}$$は8-11$$mu$$S/cmであり、試験後に局部腐食は見られなかった。一方、すき間幅約4.4$$mu$$mの位置における$$kappa$$$$_{crev}$$は、実験開始直後から上昇を続け、約70hで最大値約1600$$mu$$S/cmを示し、試験後にこの位置近傍で粒界を起点とした局部腐食が発生したことを確認した。$$kappa$$$$_{crev}$$の最大値約1600$$mu$$S/cmは熱力学平衡計算によりpH約3-3.7に相当した。以上のことから、バルク水が高純度であってもすき間内においては溶液の酸性化が進行し、その結果、局部腐食が発生したと結論された。

論文

酸素飽和高温高純度水中におけるSUS316Lステンレス鋼すき間内の局部腐食

相馬 康孝; 上野 文義

材料と環境, 67(5), p.222 - 228, 2018/05

溶存酸素濃度約32ppm、温度288$$^{circ}$$Cの高純度水中に100h浸漬したSUS316Lステンレス鋼のすき間内における局部腐食現象を詳細に分析した。テーパーのついたすき間内において、すき間先端部側(すき間幅十数$$mu$$m以下)の領域において、粒界、および介在物を起点とした局部腐食が発生した。前者は、粒界に沿って発生し、粒内にも腐食が進行した。粒内では腐食がまだら状に進行し、腐食生成物であるFeCr$$_{2}$$O$$_{4}$$に相当する組成の酸化物と残存金属相が混在する組織を示した。後者は、CaとSを含む介在物を中心として円形に発生し、腐食生成物としてFeCr$$_{2}$$O$$_{4}$$に相当する組成の酸化物が生成した。これらの局部腐食現象はすき間先端側の酸素枯渇域に集中して発生し、より開口側に近い酸素到達域では発生しなかった。局部腐食発生域と非発生域の分布から、すき間内におけるアノードとカソードの分離が示唆された。

論文

Effect of dissolved gas on mechanical property of sheath material of mineral insulated cables under high temperature and pressure water

武内 伴照; 中野 寛子; 上原 聡明; 土谷 邦彦

Nuclear Materials and Energy (Internet), 9, p.451 - 454, 2016/12

 被引用回数:1 パーセンタイル:10.71(Nuclear Science & Technology)

無機絶縁(MI)ケーブルは、耐熱性,絶縁性及び機械的強度に優れ、原子力用計測機器の計測線として使用されている。日本が提案する核融合炉ブランケットは高温高圧水で冷却する方式であるが、軽水炉及び核融合炉の運転時には、水の放射線分解により、溶存ガス量が変化し、シース材に影響を与えることが懸念されている。本研究は、シース材としてSUS304及びSUS316を選定し、高温高圧水中の溶存酸素,水素及び窒素量の変化による機械的特性への影響をSSRT試験により調べた。まず、PWRの高温高圧水環境下325$$^{circ}$$C$$times$$15MPaで溶存酸素量約6ppmの条件下において、ひずみ速度の影響を調べた。その結果、両鋼材ともに、ひずみ速度が遅いほうが引張強度が高かった。一方、溶存窒素量約20ppm程度の試験では、ひずみ速度が遅いほうが引張強度は低く、破断伸びが小さかった。破断面のSEM観察を行ったところ、試料表面部に脆性的破面が見られ、その表面深さは、ひずみ速度が遅いもの、すなわち高溶存窒素環境をより長時間経験した試料のほうが深かった。さらに、窒素に加えて溶存水素量を約50ppbにして行った試験では、窒素単独時よりもわずかに脆性破面率が高く、引張強度が低かった。以上から、高温高圧水環境において、溶存水素とともに、溶存窒素もステンレス鋼の機械的特性に影響を与えることが分かった。

論文

高温水中におけるバルク水溶存酸素濃度変化時のステンレス鋼すき間内電位および導電率の応答挙動

相馬 康孝; 加藤 千明; 上野 文義

腐食防食協会第63回材料と環境討論会講演集, p.253 - 256, 2016/10

軽水炉構造材である低炭素ステンレス鋼の応力腐食割れ(SCC)内部においては、主き裂とは別に粒界および粒内腐食が観察される。このことから、高温高圧水中におけるステンレス鋼のすき間構造部においては外界よりも厳しい腐食環境が形成され、それがき裂の進展に寄与する可能性がある。われわれは前報において、SUS316Lステンレス鋼の人工すき間内に小型のセンサーを設置し、局部的溶液導電率$$kappa$$を調べたところ、すき間ギャップが十分小さい場合、$$kappa$$は外部環境(バルク水)より100倍以上の値を示すことが分かった。一方で、前報では溶存酸素濃度は純酸素飽和条件で一定としたため、すき間内環境の形成に及ぼす溶存酸素の影響は不明である。そこで本研究においては、バルク水の溶存酸素濃度を周期的に時間変化させ、その際のすき間内における導電率の応答挙動をIn-situ分析することで、すき間内環境に及ぼす溶存酸素の影響を考察した。その結果、バルク水を脱気状態から酸素飽和状態に変化させた場合、すき間内部の溶液導電率が最大で10倍以上となった。このことから、溶存酸素がすき間環境を形成する要因であると考えられた。

報告書

炉外高温高圧水ループ試験装置の性能試験(受託研究)

中野 寛子; 上原 聡明; 武内 伴照; 柴田 裕司; 中村 仁一; 松井 義典; 土谷 邦彦

JAEA-Technology 2015-049, 61 Pages, 2016/03

JAEA-Technology-2015-049.pdf:14.7MB

日本原子力研究開発機構では、原子力施設でシビアアクシデントが発生した際に、プラント状態を監視するため、過酷環境下でも高解像度で監視できる耐放射線性カメラ、炉内の情報を伝送するための無線伝送システムならびに計測線等の高度化に向けた要素技術の基盤整備を進めている。計測線の高度化開発の一環として、高温型MIケーブルの信頼性およびそれらを構成するシース材料の特性を調べるため、PWR及びBWR条件の炉内環境を模擬できる炉外高温高圧水ループ試験装置を整備した。本装置は、圧力容器(オートクレーブ)、水質調整タンク、送水ポンプ、高圧定量ポンプ、予熱器、熱交換器および純水精製装置などから構成されている。本報告書は、炉外高温高圧水ループ試験装置の製作にあたって構成する機器の基本設計及び当該装置を用いた性能試験結果についてまとめたものである。

論文

True Boundary for the formation of homoleptic transition-metal hydride complexes

高木 成幸*; 飯島 祐樹*; 佐藤 豊人*; 齋藤 寛之; 池田 一貴*; 大友 季哉*; 三輪 和利*; 池庄司 民夫*; 青木 勝敏*; 折茂 慎一*

Angewandte Chemie; International Edition, 54(19), p.5650 - 5653, 2015/05

 被引用回数:32 パーセンタイル:68.44(Chemistry, Multidisciplinary)

Despite many exploratory studies over the past several decades, the presently known transition metals that form homoleptic transition-metal hydride complexes are limited to the Groups 7-12. Here we present evidence for the formation of Mg$$_{3}$$CrH$$_{8}$$, containing the first Group 6 hydride complex [CrH$$_{7}]$$$$^{5-}$$.

論文

Design and performance of high-pressure PLANET beamline at pulsed neutron source at J-PARC

服部 高典; 佐野 亜沙美; 有馬 寛*; 小松 一生*; 山田 明寛*; 稲村 泰弘; 中谷 健; 瀬戸 雄介*; 永井 隆哉*; 内海 渉; et al.

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 780, p.55 - 67, 2015/04

 被引用回数:75 パーセンタイル:99.01(Instruments & Instrumentation)

PLANETは高温高圧実験に特化された飛行時間型の中性子ビームラインである。パルス中性子回折実験用に設計された大型の6軸型マルチアンビルプレスを用いることで定常的には高温高圧下約10GPa、2000Kでのデータ測定が可能性である。きれいなデータを取得するために、ビームラインには入射スリットと受光スリットが装備してあり、高圧アセンブリからの寄生散乱が除去可能である。$$Delta$$$$d$$/$$d$$=0.6%の高い分解能、0.2-8.4${AA}$の広いデータ取得可能$$d$$レンジおよび高い寄生散乱除去性能により、高温高圧下での結晶および液体の高精度な構造決定が可能となっている。

論文

Six-axis multi-anvil press for high-pressure, high-temperature neutron diffraction experiments

佐野 亜沙美; 服部 高典; 有馬 寛*; 山田 明寛*; 田幡 諭史*; 近藤 真弘*; 中村 昭浩*; 鍵 裕之*; 八木 健彦*

Review of Scientific Instruments, 85(11), p.113905_1 - 113905_8, 2014/11

 被引用回数:43 パーセンタイル:84.25(Instruments & Instrumentation)

飛行時間法による中性子高温高圧実験のための6軸型マルチアンビルプレス"圧姫"を開発した。プレスは6つの独立した油圧ラムにより中心の立方体空間に荷重をかける。MA6-6セルを用いた試験では9.3GPa, 2000Kまでの温度圧力発生を確認し、MA6-8を用いた試験では16GPa, 1273Kの温度圧力発生を確認した。6軸プレスはガイドブロックをもたないため、試料まわりに空間が確保できることが特徴である。このため入射スリットやラジアルコリメーター、中性子カメラといった周辺機器を試料の近くに置くことが可能となった。6軸プレスとコリメーター機器の組み合わせにより、ヒーターや圧力媒体からの寄生散乱を取り除くことができる。試料からの回折パターンのみを取得することができ、高温高圧下における結晶や液体の構造解析に有効である。

論文

時間分解蛍光分光法によるアクチノイドの溶液化学研究における最近の進展

木村 貴海; 桐島 陽*; 有阪 真

希土類, (47), p.43 - 56, 2005/11

時間分解レーザー誘起蛍光分光法は、単に高感度かつ高選択的な分析手法としてだけでなく、イオンの溶液内構造や熱力学的特性をも測定可能な用途の広い方法として、今ではアクチノイド研究にとって重要な研究手段の一つとなっている。本講演では、アクチノイド(III)とランタノイド(III)の配位環境の比較,固液界面における微量化学種の状態解明,水熱溶液中でのウラン(VI)の加水分解・錯形成反応,水溶液中におけるウラン(IV)の初めての蛍光測定など、最近の進展を報告する。

論文

Synthesis of Al$$_{x}$$Ga$$_{1-x}$$N and InN crystals under high pressures

齋藤 寛之; 内海 渉; 金子 洋*; 青木 勝敏

Proceedings of Joint 20th AIRAPT - 43rd EHPRG International Conference on High Pressure Science and Technology (CD-ROM), 4 Pages, 2005/06

著者らはオプトエレクトロニクス及びパワーデバイスにおけるキーマテリアルであるIII族窒化物半導体材料の高温高圧合成を、放射光その場観察と組合せて行ってきた。AlN及びGaNの混合粉末が6.0GPa, 800$$^{circ}$$Cの条件下で固相反応することを見いだし、Al$$_{x}$$Ga$$_{1-x}$$N(0$$leq$$x$$leq$$1)の多結晶焼結体を作製した。またAl$$_{0.1}$$Ga$$_{0.9}$$N試料が2400$$^{circ}$$C, 6.5GPaで融解することを見いだし、その単結晶を融液徐冷により作製した。InNの高温高圧状態図を放射光その場観察から決定し、19GPa, 1900$$^{circ}$$CでInNが融解することを確認した。

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